「確定申告ってよくわからない!」
「在宅ワークって家賃とか経費にできる?」
「個人事業主でも配偶者控除って適用される?」
「海外の会社からドルで報酬をもらった時ってどうすればいい?」
と悩む人に向け、フリーランスとして初めての青色確定申告を終えた私が、1年目から・1年目だからこそ注意したいことをお伝えします。
また、私は海外の会社とフリーランス契約し、ドルで報酬をもらうこともあるので、外貨をもらった際の確定申告などについても補足します。
確定申告に不安のある方、副業で確定申告を考えている人にも参考になるかと思います。正しく確定申告すれば、大きな節税対策になります。
注意:この記事は私の備忘録的内容です。記事の内容は青色申告講習会の内容、税理士さんから聞いたこと、調べたことを記載していますが、万が一間違えてたらごめんなさい…(ご指摘くださると助かります)。
<プロフィール>
🧪理系大学院卒→会社員約6年
→2021年〜フリーランス英日翻訳者(化学、IT、ビジネス)、時々ライター。
🔤華麗な経歴ないけど英語を使って仕事してます!
確定申告をざっくり説明
確定申告とは、納税義務者が納税額を確定させる手続きのことです。前年の1月1日から12月31日までで得た所得(=収入―経費)や各種控除を税務署へ申告することで、税金を納付する、または払い過ぎている税金を還付してもらうことができます。
ここでいう「納税義務者」とは、所得から基礎控除と社会保険料控除を引いてマイナスにならない人の事です。しかし、会社員で1か所からしか給与をもらっていない人は、企業が手続きを行っているので、基本的には確定申告の義務はありません。
しかし、フリーランス、不動産所得や株式投資をしている人、副業で20万円を超える所得がある人などは確定申告の対象となります。
私はフリーランスで、投資も非課税のつみたてNISAとiDeCoしかやっていないので、事業所得のみの話をしていることをご了承ください。
やることステップ~なぜ1年目から重要なのか~
ずばり損をしないためです!特にフリーランス1年目は、収入の少ない人が多いと思います。お金がちゃんと戻ってくる(還付の)ためには、正しく確定申告しなければなりません。
- 源泉徴収をちゃんと仕分けしていない人
- それなりの収入があるのに青色申告を申請していない人
- 開業前のレシートを保管していない人
- 控除を申告していない人
損をしています。
*確定申告は間違っていても後で修正可能ですが、ここでは割愛します。
仕事に関係の出てきそうなレシートを保存しておく
開業準備として買った備品や書籍、セミナー代などは「開業費」として経費に計上できます。しかも、開業費は償却年数に制限がないので、「(収入)-(経費)-(控除)=(課税所得)」がゼロになるよう、開業費で調節できます。開業前に買ったものの領収書やレシートは捨てずに保存しましょう。
例)開業費30万円とする。1年目の収入が145万円、開業後にかかった経費は90万円とすると、所得は145-90=55万。
所得税・住民税ともに非課税(ゼロ)になる所得額45万円にしたいため、開業費30万円のうち10万円を今年度の経費にプラスすると、所得は145-(90+10)=45万円となる。
残り20万円は次年度以降に償却する。
*実際は青色申告特別控除などもあるので、あくまで一例として捉えてください。
*ちゃんとした領収書がなくても、「購入先」「金額」「購入日付」が分かれば大丈夫です!レシートやクレジットカードの支払い履歴、支払い完了メールなどを探しましょう。
開業届の提出と、青色申告か白色申告を選ぶ
青色申告をするためには、開業から2ヶ月以内か、その年の3月15日までに税務署へ「事前に」申請しないといけないので、間に合わなかった、もしくは青色申告が面倒という人は白色申告になります。
「面倒」というのは、ある程度簿記の知識がないと提出書類の作成が難しいからです。ただ、現在は会計ソフトで作成しやすくなったのと、青色申告ならではの特例があることから、一過性の稼ぎにしないのであれば青色申告の方が良いかと思います。
<青色申告の主なメリット4つ>
- 最大65万円の青色申告特別控除→青色申告の書類を正しく記入し、e-Tax提出するだけで事業所得から65万円を引けるため、節税できる。
- 赤字の最大3年間繰り越し→こちらも事業所得から以前の赤字を引けるため、節税できる。
- 30万円未満の固定資産を一括償却(総額300万円まで)→儲かった年には有効な節税手段(10万円以上である固定資産は通常、数年かけて償却しなければならない)。
- 青色事業専従者(従業員として専従している、生計を一にする家族)の給与がすべて経費に→収入から家族への給与を経費として引けるため、節税に。
*個人事業主のかんたん税金計算で、青色申告(65万円控除の場合)と白色申告の場合の税金額を簡単に比較できます。
開業届と青色申告の申請、面倒ではありませんでした。私はfreeeの開業届作成サービスを使用して、どちらの書類も提出しました。あまりにあっけなく終わったので、ちゃんとできたか逆に心配になりました(笑)。
やっぱり便利!会計ソフトを導入する
ここでは、会計ソフトの王道3社を超ざっくり比較しています。
会計ソフト | やよいの青色申告オンライン | 無料の確定申告自動化ソフト マネーフォワード クラウド確定申告 | freee |
最安プラン(年間) | 8,800円 | 10,560円 | 12,936円 |
メリット | (最安プランは)1年間無料、シンプルな使い勝手 | 連携できる機関が豊富、年間仕訳数50件までなら無料 | スマホ完結に強み、撮影した領収書から自動で仕訳可能 |
デメリット | (最安プランは)電話やメールサポート、 税務相談なし | 確定申告書の第三表(株式売買やFX)の入力は手入力 | 3社の中で最も高額 |
私は1年間無料のやよいを使用しました。仕訳入力は(ソフト由来ではなく)自分の知識のなさが原因で苦戦しましたが、書類提出はちゃんとできたか不安になるレベルで簡単でした。
しかし、Paypal経由で報酬をもらうことが多かったのと、他も試してみたいので、次はPaypal連携できるマネーフォワードを検討しています。
無料の確定申告自動化ソフト マネーフォワード クラウド確定申告
口座自動取り込みの罠を知っておく
会計ソフトは便利なのですが、自動取り込みした内容をそのままにしておくのは危険です。特に売上については、以下2点について注意しましょう。
源泉徴収
フリーランスの報酬は、報酬の10.21%の源泉徴収額が引かれて振り込まれる場合があります。これは、所得税を取引先が代わりに納めているようなものです。
そのため、振り込まれた額をそのままにしておくのではなく、源泉徴収額が引かれる前の本来の報酬額と、そのうち源泉徴収額がいくらかを入力し直さなければなりません。
特に、課税所得が195万円以下の場合の税率は5%なので、10.21%だと税金を払い過ぎている可能性があります。正しく仕訳して、還付できるようにしましょう。
*源泉徴収のあった取引先から、「支払調書」という1年の報酬額と源泉徴収の確認書類が届くのですが、この支払調書は「現金主義」と言って、支払った日で作成されている場合が多いため、次で説明する「発生主義」で付けている帳簿と合わない場合があります。ご注意ください…
発生主義
申請していない限りは、「発生主義」と言って仕事が発生した・受注した日付(≠報酬を受け取った日)で記帳しなければなりません。もちろん、仕事を1件1件入力し直すのではなく、月ごとでよいのですが、厄介なのが年末です。
12月に受けた仕事の報酬が1月に振り込まれた場合、この報酬は12月で記帳しないといけません。
正直、自分は「間違ってても困らないのでは?」と思っていたのですが、補助金や助成金の申請を考えている人、税務調査がある人は要注意だそうです。不正にその年の売上を少なくしたと思われかねないそうで、税理士さん曰く、相談者の多くが発生主義に書き換えたそうです…
e-Taxを使えるようにしておく(青色申告者はマスト!)
青色申告特別控除のmax65万円を受けるには、e-Taxでの書類提出が必須条件です。e-Taxサイトでの利用者識別番号取得のほかに、マイナンバーカードと、マイナンバーカード対応のICカードリーダーライター(またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ)が必要です。
「控除証明書」と名の付くもの、○○控除に関わるものはすべて取っておく
国民健康保険料や国民年金保険料、生命保険料、寄附金控除などは、年末あたりに「控除証明書」がハガキなどで届きます。控除証明書がないと控除の申請ができないので、なくさないようにしましょう。
*ふるさと納税は寄附金控除に当たります。ふるさと納税のワンストップ制度は、会社員かつ他の控除申請がない人が対象なので、確定申告をする人はワンストップ制度を使えません。しかし個人的には、自治体ごとに書類をいちいち送付するワンストップ制度より、自分で控除申請した方が慣れると楽です。
また、医療費控除は医療費が10万円を超えた人、または所得が200万円未満の人は総所得金額の5%を超えた人が対象となります。自治体または会社から医療費のまとめが届くかと思いますが、だいたい年末の分は計上されていないので、領収書を取っておくのと、交通費も申請できるのでメモしましょう(病院にかからないのが一番ですが)。
*保険適用外の歯科治療(銀歯を白い詰め物にするなど)や漢方も医療費控除に入ります。一方、人間ドックは、病気が見つかって治療に発展した場合のみ医療費控除にできるそうです。
やっぱり確定申告、難しい!自分の時間は事業に集中させたい!
確定申告や会計全般を、税理士さんに任せるのが良いかと思います。私は、市の税務署の案内で青色申告講習会への参加、そして税理士さんへの質問ができました。スポットでの相談なら無料でできるもので十分かと思います。
しかし、継続的に会計を見てもらう、自分の都合で税理士に相談したい、確定申告を一任したい場合は、税理士に頼むことも選択肢の一つです。
個人的Q&A 5選
ドルなどの外貨で報酬をもらった時ってどうする?
外貨で報酬をもらっても、「円」に換算して計上しないといけません。基本的には「発生主義」と言って、仕事が発生した日付(≠報酬を受け取った日)で換算します。しかし、煩雑な場合には月平均のレートで換算しても良いと税理士さんが仰ってました。
<換算方法>
- TTM(電信売買相場の仲値)→TTBとTTSの仲値。原則TTMを使用して換算。 *継続適用を条件に、以下の適用も可能。
- TTB(電信買相場)→金融機関が外貨を円にする時のレート。売上や資産に使うのはこちら。
- TTS(電信売相場)→金融機関が円を外貨にする時のレート。仕入などの経費や負債で外貨を使う場合はこちら。
外国為替公示相場レートを調べる際には、大手銀行などが公開しているものを使用します(例: MUFG、SMBC、みずほ)。換算方法と換算に使用したサイトは統一しましょう。
例)100ドルの仕事が2021年10月1日に発生。
→2021年10月1日(または10月の月平均)のTTM(またはTTB)を使用し、11,143円の売上として計上。
次に、後日ドルを実際に円に換えた場合をお話します。その日の為替で、先ほど算出した金額とずれることがあります。
- 利益が出た場合は「為替差益」として収入に計上
- 損益が出た場合は「為替差損」として経費に計上
例)先ほどの報酬100ドル(2021年10月1日に発生)を、2021年12月21日に円換金した。
→2021年12月1日(または12月の月平均)のTTM(またはTTB)でもう一度計算。11,367円だったので、224円の利益が出た。
→「為替差益」として収入に計上
*換金にかかった際の手数料は経費に計上しましょう。
*小数点の計算は、使っている銀行に合わせるなどして統一しましょう。
在宅ワークで、家賃や光熱費を配偶者が支払っている(名義が配偶者)場合も計上できるの?
経費計上できるとのことでした。
家賃や光熱費など、仕事でもプライベートでも使っているものって経費にできる?
経費にできますが、全額ではなく、仕事に使っている面積と時間で割るのが一般的です(按分)。在宅ワークをする前と後の光熱費から差額を経費にしている方もいました。誰かに説明して納得してもらえるような按分であることが重要です。
家賃や光熱費のほか、インターネットやスマホ、サブスクなども対象になりますので、もれなく経費として計上しましょう。
フリーランス1年目で売り上げが少ない…配偶者控除の対象になるには?
相手(控除を受ける納税者本人)の合計所得金額が1,000万円以内で、自分の合計所得金額(収入―経費―青色申告特別控除)が48万円以下であれば、配偶者控除を受けることができます。
他にも下記の条件を満たしている必要があります。
- 民法の規定による配偶者であること(≠内縁関係)。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
講座費用(研修費)が10万円超えたけど、これって固定資産扱い…?
研修費は10万円以上であっても固定資産扱いにしなくてOKです。
数か月にわたる講座だと10万円超えする場合もあります。10万円以上=固定資産=要減価償却というイメージがありましたが、数年に渡って使用する物、投資目的で長期間保有する資産というわけではないので、研修費は金額の上限なしに通常の経費として計上できます。
会計ソフトでは、10万円以上だと固定資産にするか確認画面が出るかと思いますが、無視して大丈夫です。
*各所で言われていますが、変な情報商材は買わないように気を付けましょう。
まとめ
確定申告、面倒ですが正しく申告すれば、むしろ払い過ぎた税金が還付されます。フリーランス1年目だからこそ、漏れなく申告して節税しましょう。
逆に、多くの稼ぎがあるのに正しく申告していないと、キツい罰金が科されます。知識を身に付けて正しく行動していきましょう。
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