2021年1月1日に英日翻訳者として個人事業主になりました。今年で3年目、沈みかかった船に乗っている気持ちから脱却しようと、翻訳をメインにするのをやめました。
翻訳の仕事を始めて1年4か月ごろ、ある海外の翻訳会社と契約しました。大量に仕事を降らせてきたのです。断らなければ、物理的に無理なほど。おかげで、仕事が途切れなくなりました。
前年は不本意にも扶養に入ることとなりましたが、昨年は日本の平均年収を超えました。このまま続けても良かったのかもしれません。しかし、私は翻訳をメインにするのをやめました。理由は3つあります。
1つは、このままのペースで仕事を引き受けたら、体を壊すと思ったからです。自分のタスク管理が甘かったこともありますが、ギリギリまで全力で仕事をして、休むことなく次の仕事。クオリティを下げるわけにはいかない。睡眠時間を削るのはザラ。これは危険だと思いました。
年を取ったら、同じような仕事はできなくなります。それまでに単価を上げていれば、問題はないかもしれません。
しかし、長年やっている人が、私より低い単価で仕事をしていると知っていました。自分でコントロールできる部分が少ない時間の切り売りの仕事だけでは、漠然とした不安を抱えたままになると思いました。
2つ目は、機械翻訳に対する翻訳者や業界の反応です。私は、世の中が便利になれば良いと思っています。元々メーカーの研究職で、スマホの素材を作っていた私からすると、企業努力をみんなが享受する世界は素敵だと思うタイプです。機械翻訳、ちゃんと使える人は使っていいと思っています。
頭ごなしに機械翻訳を否定する翻訳者、多いなと思いました。その理由が、「世の中のためにならないから」というより、「自分の仕事がなくなるから」という自分勝手な理由の人、多い気がしました。正直、この業界は居心地悪いと感じました。
一方で、機械翻訳、便利ですがまだまだですよね。人の翻訳、必要ですよね。仕事を受ければ受けるほど、機械翻訳では訳しきれないと思う文章を目の当たりにしました。
機械翻訳のセミナーを聞くと、翻訳力を磨こう!という1つの結論に自分としては落ち着きます。機械翻訳のセミナー、人が集まるのでしょう。多すぎるなと思いました。正直、昨年のセミナー関係の多くでつまらなく感じてしまいました。
3つ目、きっかけはインボイス制度です。1社から、登録していない人は単価を下げるとお達しがありました。このままでは、沈みかかった船にしがみついているようなものだと思いました。
船が沈みかかったら、普通は逃げますよね(仕事となると不思議なもので、逃げるという判断ができなくなりやすいのですが…)。
この1社は、単価が一番安いので正直切っても良かったですし(笑)、海外との契約はインボイス制度の適用範囲外です。しかし、翻訳の仕事にしがみつく必要、ないなと思ってしまいました。
後半では、属人的な翻訳の仕事のメリットとデメリット、翻訳者がもっとやっていける方法を書いていきます。後者について、私はひよってしまいましたが、でき(ている)る人、いらっしゃると思うので、お伝えできればと思います。
コメント