翻訳者2年目終了|翻訳を仕事のメインにするのをやめた理由【後編】

フリーランス

前回、翻訳の仕事だけでは将来不安を抱えたままになると思い、メインにするのをやめたと書きました。現在は、ライター(ディレクション)と採用マーケティングに関わっています(今回割愛)。産業翻訳も主にするのをやめただけで、続けてはいます。

一つ注意点として、私はエンドクライアントと直で取引しているのではなく、仲介の翻訳会社と業務委託契約をしています。後述しますが、直取引できた方がいいですし、これから記載する内容は、直取引の人には関係ないかもしれません。

前編の内容に加えて、良くも悪くも属人的という面で、私にとって翻訳はメインの仕事にしない方がいいと思ってしまいました。この「属人的」とは、平たく言うと「自分にしかできない」だと思います。「属人的」が良いか悪いかは、個人の好みによると思います。

属人的な仕事のメリットは、継続案件が来るということです。「この人、良かったから次も頼もう。」となるわけです。また、「この分野でやっていくんだ!」というアイデンティティにもつながると思います。

デメリットは、「誰でもできない」ということです。これは、しっかり勉強してトライアルに合格した翻訳者とそれ以外という広義ではなく、翻訳者が育つ環境にないという意味です。どういうことでしょうか?

これはさらに2つに分かれます。「誰も指摘してくれない」と「仕事を振れない」です。「誰も指摘してくれない」は、翻訳者というか、フリーランスである以上、仕方ないとは思います。しかし、翻訳者はエンドクライアントや仲介の翻訳会社からほぼフィードバックをもらえません。

翻訳には必ず校正者がいるのですが、校正者のフィードバックも翻訳者にほぼ届きません。校正者にもなったことがありますが、校正者は正直激安です。しかも(私だけだと思いたかったのですが、)素晴らしい翻訳どころか「これでいいの…?」と思う翻訳が来ることの方が多いのも事実です。

もちろん問題なので直しますし、致命的なミスを何度もしていた場合は、はっきりと翻訳会社に指摘したこともあります。しかし、指摘に対価が払われることはありません。極論、ちゃんと仕事をするだけ損をするのです。

翻訳者側に立つと、フィードバックがなく、自助努力だけで何とかしないといけないということです。トップ翻訳者になれば、周りの質も変わるのかもしれません。一方で、何十年と翻訳一筋の方々がいらっしゃる中、何年かかるのだろうとひよってしまいました(笑)。

もう1つ「仕事を振れない」に関して。自分の仕事を他の人にお願いすることはできません。これは契約面でもそうですし、トライアルという試験に合格した人だけが契約できるので、合格していない人に仕事を渡すことはできません。仕事を振り分けるのは翻訳会社の仕事で、翻訳者は末端ということです。

一方で、ライターはライターに仕事を振ることが可能です(ディレクション)。もちろん、いきなりディレクションできるわけではありません。まずは個人で記事作成し、認められると、多くの案件を依頼される代わりに他の人に頼んでも良いのです。

もちろん、取りまとめをする役割なので、記事の質を保つ必要があります。ここでフィードバックできるのです。教育できるのです。

ここで大事なのは、エンドクライアントとしては、記事によって売上が上がる、ページアクセス数が増えれば、方法は何でも良いのです(もちろん守秘義務や仕様などを守る前提)。目的は文章そのものではなく、その先の利益に貢献できるかです。

実は産業翻訳だと、この部分が弱いのです。(原文がいまいちでも、)作者の意図を崩さずに訳すことを教えられるからです。この点、TransCreationやクリエイティブ翻訳、マーケティング翻訳は異なります。

「翻訳者は末端」というのは悪いことではありません。翻訳以外の仕事をしなくていいのです。

市場調査、エンドクライアントへの営業、交渉、契約書や請求書の作成など…様々ある仕事の一点を集中的に担っているのです。まさに職人です。英語好きにとっては、天職という方もいらっしゃるかと思います。本当に好みの問題ですね。

最後に、翻訳者がもっとやっていける方法について、私見をお伝えします。ズバリ直取引です。今までの単価が安い、人に仕事を振れない、クライアントの利益に直結しないなどを一気に解決できる方法です。

LinkedInに日英のプロフィールを記載する、企業にDMを送る、または経営者がいる交流会に参加することで仕事を獲得できます。他にも方法があったら教えてください。

TransCreationやクリエイティブ翻訳、マーケティング翻訳をするにも、直取引の方がいいと思います。利益に貢献できているか、ヒヤリングやデータ取得できるからです。

利益に貢献できている場合、文字単価だけではなくて、売上の〇%をもらうという交渉方法も可能です。ここに仲介が入ってしまうと、データがもらえない、成果報酬型ができない可能性が出てきます。

もちろん直取引の場合は、翻訳以外の業務が発生します。しかし、一人ですべてを行う必要はありません。人に頼む、一緒にやること、可能です。もはや小さな翻訳会社と言っても良いかもしれません。

私はこの考えに至る前にひよって、翻訳をメインにするのを現在やめています。新しいことに挑戦していて正直しんどいですが、自分が選んだことなので、ものにしようと思います。

一方で、英語を使うこと、日本以外に目を向けることをやめたわけではありません。これからも学びの手は止めないで生きたいと思います。

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