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「年収より大切なもの」で採用する技術──転職者が本当に動く4つの理由と、自社の非金銭的報酬を集客コンテンツに変える方法

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年収だけが動機ではない ─ 転職者の本当の理由

「給与が上がらないから採用できない」──その思い込みが、採用戦略の可能性を狭めているかもしれません。実際のヒアリングで浮かび上がってくるのは、年収アップが主目的の転職はそれほど多くないという現実です。むしろ、今の職場では満たされない「何か」を求めて動いている人の方が、はるかに多いのです。

その「何か」こそが、非金銭的報酬です。これを言語化し、採用コンテンツに変換できた企業は、給与水準に左右されず優秀な人材を獲得し続けています。本記事では、実際のヒアリング事例と、コンテンツへの変換フレームワークをご紹介します。

目次

転職者が年収以外で動いた4つのリアルな理由

ヒアリング事例をもとに、転職動機を「非金銭的報酬」の観点から4つに分類しました。
※個人が特定されないよう、一部情報を変更・曖昧にして掲載しています。

① やりがい・成長(自己実現・経験獲得)

転職者転職の経緯コメント
Aさん(新卒営業→製品開発)製品開発への道を諦めきれず、自分のキャリアでも開発に携われる企業を探して転職。「自分の経歴でも大丈夫」と知ったことが決め手になった。大学院卒不問の職場を見つけたことで、夢だった開発職への転身を実現。「転職してよかった」と目を輝かせていました。
Bさん(一部上場企業→外資系非上場)若いうちの海外駐在を希望していたが、なかなか機会が回ってこない。転職サイトで知った、外資に買収された企業へ転職し、念願のグローバル業務を手に入れた。語学学習含め、大変な面もあるものの、前職では得られなかった経験を着実に積んでいるそうです。

② 価値観・企業理念への共感

転職者転職の経緯コメント
Cさん(製薬営業→採用サービス業)業界特有の限定的な対外コミュニケーションに息苦しさを感じ、これまでと全く異なる業界・職種への転職を決断。決め手は企業理念への強い共感だった。年収はかなり下がりましたが、企業理念と実際の業務内容から、「この会社を通じて社会に貢献したい」と思えたそうです。
Dさん(外資大手→スタートアップ)同僚(現スタートアップ社長)からの熱意あるオファーを受け、創業メンバーとしてスタートアップへ。将来の起業という目標と、ボトムアップ型の企業文化への共感が背中を押した。会社が傾くリスクも覚悟した上での転職。「ダメならまた転職すればいい」と自分の意志で選んだことが、前向きな姿勢につながっていました。

③ 生活・ライフスタイル(勤務地・家族・柔軟性)

転職者転職の経緯コメント
Eさん(関東勤務→Uターン転職)Eさん自身は順調に昇進していた。しかし、育休復帰後の奥さんがある日、鏡の前で泣きながら謝る練習をしている姿を見て、Eさんは環境を変えることを決意。子育てに両親の力も借りたいと思い、夫婦の地元への転職を選んだ。キャリアの上昇をいったん横に置いた選択ですが、後悔はないそうです。「家族を守ること」が、Eさんにとって最も大切な報酬でした。
Fさん(地方勤務の高評価社員)地方勤務で、産休・育休復帰後も出世コースを歩むほど評価されていたが、その実績が本社(東京)への異動話につながってしまった。今の場所を離れたくなく、引っ越し不要の企業へ転職。家族との時間や地元とのつながりを優先するために転職した事例は、決して珍しくありません。

④ 働きやすさ・関係性(承認・人間関係・評価)

転職者転職の経緯コメント
Gさん(メーカー研究職→取引先企業)新しい評価手法を確立するほど貢献していたが、短期売上に直結しない成果は人事評価に反映されず、部長との相性も悪化。正当な評価を求めて転職を決意した。貢献しているのに報われない職場環境や評価制度は、優秀な人材を外に押し出します。後任の同僚が「Gさんを手放してくれて感謝している」と言われた話は、企業にとって大きな教訓です。

非金銭的報酬の4分類と、採用への活かし方

事例から見えてきた4つの分類を、自社の採用コンテンツにどう接続するかを整理しました。これはあくまで一例です。自社にある「報酬」と照らし合わせながら、ご活用ください。

求職者が動く理由自社にあるメリットとどうつながるか採用に使えるキーワード例
やりがい・成長・専門分野に早期から関われる
・裁量あるプロジェクトへの参加機会
・新規事業立ち上げや海外顧客との直接取引
「早期裁量」
「手を挙げれば動ける」
「前職では得られない経験」
「グローバル経験」
「責任範囲拡大」
価値観・企業理念・企業理念が言語化されている
・経営理念が日常業務に落とし込まれている
・社会課題に直結する事業
・社長との距離が近い
「社会的意義」
「一体感」
「ボトムアップ」
「意思決定の早さ」
企業理念の具体的な内容
生活・ライフスタイル・勤務地選択可
・転勤なし
・時短・フレックス・リモートワーク対応
・Uターン・Iターン歓迎
「地元で長く働ける」
「転勤なし」
「家族優先」
「子育て支援」
「ライフイベントに寄り添う」
働きやすさ・関係性・明確な評価基準と定期フィードバック
・1on1制度
・心理的安全性を重視
・相談しやすいフラットな組織文化
「公平評価」
「成長実感」
「声が届く環境」
「フラットな組織」
「心理的安全性」

言語化した報酬を集客コンテンツに変換する

自社の非金銭的報酬が言語化できたら、次は採用コンテンツへの落とし込みです。Before/Afterの例を4分類それぞれで示します。

▶ ① やりがい・成長タイプ

❌ Before(改善前)✅ After(改善後)
営業職募集。経験者歓迎。年収400〜600万円。「まだ30代なのに、もう事業責任者?」
入社3年目で新規事業を任された社員がいます。肩書きより、やりたいことができる会社を探している方へ。
▶ 変換のポイント:実際の社員エピソードを一言に圧縮。「早さ」と「裁量」を具体的な数字と事実で示しています。

▶ ② 価値観タイプ

❌ Before(改善前)✅ After(改善後)
アットホームな職場です。理念に共感できる方を歓迎します。「売上より先に、お客様の状況を聞く会社」
商談の場で担当者が「今は必要ないと思います」と言える文化があります。数字より誠実さを大切にしたい方は、ぜひ一度お話しましょう。
▶ 変換のポイント:「アットホーム」「理念共感」はそのまま使いません。理念が実際の行動に現れている場面を具体的に描写しています。

▶ ③ 生活タイプ

❌ Before(改善前)✅ After(改善後)
転勤なし。残業少なめ。地元で長く働けます。「子どもの運動会に、有給を使わずに行ける会社です」
「家族優先」を就業規則に明記しています。地元で、長く、自分らしく働きたい方へ。
▶ 変換のポイント:「転勤なし」でも悪くありませんが、「何ができるようになるか」という具体的な事例を記載すると、情景が浮かびやすくなります。

▶ ④ 働きやすさ・関係性タイプ

❌ Before(改善前)✅ After(改善後)
風通しの良い職場です。上司も気さくで話しやすい環境です。「それ、やってみようか」が返ってくる会社です
Slackの一言から始まった新サービスが、これまでに3つあります。アイデアを形にしたい方へ。
▶ 変換のポイント:「風通しが良い」はどの企業も使う言葉です。声が届いた結果として何が起きたかを示すと、差別化できます。

給与競争から抜け出す「変換3原則」

Before/Afterの例に共通するルールを3つに絞りました。コンテンツ制作の判断基準としてご活用ください。

1. 抽象語を追放する「アットホーム」「風通しが良い」「成長できる」は使いません。その言葉が生まれた具体的な場面・行動・数字に置き換えます。
2. 求職者の「心の声」を書くキャッチコピーもスカウト文も、会社の紹介ではなく「求職者が感じている不満や願望」を起点に書くことで、「自分のことだ」と読み進めてもらえます。
3. ひとつのコンテンツに詰め込まない4分類すべてをひとつのコンテンツに盛り込むと、何も響きません。ターゲットとなるペルソナに応じて「どの報酬を前面に出すか」を絞ることが重要です。

まとめ:自社の「報酬」を再発見する

転職者は年収という一軸では動きません。「自分だけの報酬」を求めて動いています。そのヒントは、既存の社員が「なぜこの会社に居続けてくれているのか」の中に隠れています。

転職経験のある知人や、可能であれば過去に辞退した候補者にも「なぜ今の会社にいるのか」を聞いてみましょう。そこに、言語化されていない報酬が眠っています。

採用競合と給与で戦い続けるのは消耗戦です。自社が提供できる非金銭的な価値を言語化し、適切なコンテンツに変換できれば、まったく別の土俵で候補者の心を動かすことができます。

もっと深い背景を知りたい方はnoteへ

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